姿勢は健康の基本です。
日頃、姿勢に気を付けることはあまりないかもしれませんが、真横と真正面からみて理想的な姿勢に意識的に整えていくことが大切です。姿勢を整えるうちに、靴も快適に履けるようになるだけでなく、日常的に感じている膝や腰の痛みも知らないうちになくなることも多いです。
また、姿勢が整うと立ち姿や歩き方も綺麗になって、自信に溢れた印象を周囲に与えることになります。そして、他者からみられる自分の印象が自分自身の心にも好影響を与えて、心身ともに好循環になります。
というわけで、姿勢には気を付けたいものですが、姿勢には靴が大きく影響することをご存じですか?
今回ご紹介する20代のお客様は、お仕事でほぼ1日中パンプスを履いていらっしゃるそうで、なぜか右足のリフト(ヒールのゴム)だけが削れてしまうそうです。また、長時間歩いていると、指の付け根の足裏部分が痛くなってきてしまう、そして、腰痛持ちということです。
裸足、日頃履いていらっしゃるパンプスを履いた時、そして、今回オーダーされたパンプスを履いた時の姿勢を比較してみました。

まず、裸足の姿勢を真横から拝見すると、理想の姿勢に比較して腰から上全体が前に出て、反り腰になっていらっしゃいます。いわゆる前傾姿勢です。反り腰は腰痛の原因の一つになります。 一方、正面からみた姿勢は、微妙に左足のアーチが右足より内側に倒れて上体が歪み、手の高さにズレがありますが、概ね左右対称なので大きな問題はなさそうです。
次に、日頃履いていらっしゃるパンプスを履いた時の姿勢を拝見しましょう。
真横から拝見すると、裸足のとき同様、前傾で反り腰です。このとき、身体の重心はくるぶしより前方に位置するため、足の前方に体重が偏ってしまいます。長時間歩いていると指の付け根の足裏部分が痛くなるのはこれが原因です。 正面からの姿勢を拝見すると、裸足の時と比較して歪みが大きくなっていることが分かります。左足が微妙に前に出ていますが、これは、「こちらを向いて立ってください」とお願いしたときに無意識に取られた姿勢のため、普段、このような立ち姿になることが多いと思われます。裸足の時はこれほど顕著ではないため、パンプスが合っておらず、左足のアーチの崩れがより顕著になっていることが原因と考えられます。
そして、このパンプスでの歩行を拝見したところ、右側に上体が傾いた状態で歩行されていることが分かりました。右のリフトだけが削れる原因の一つでしょう。また、恐らく、腰痛の原因の一つでもあると思います。
ヒールがぐらつくこともなく、普通に歩いていらっしゃいましたが、歩行時に姿勢の歪みがあると、膝や腰などに局所的な負担がかかるため、年齢と共に身体の様々なところに不具合が出る可能性は大いにあります。
そうなったらパンプスは諦めればいいだけ、と思っていませんか?
でも、ヒールがないフラットシューズに代えたとしても、フラットシューズが足に合っていなければ、同じように姿勢は歪む可能性があるのです。なぜかというと、今回のお客様のように裸足の時にも重心がくるぶしより前になってしまう姿勢で生活しているうちに、足のアーチは徐々に崩れていってしまうからです。足のアーチの崩れは年齢と共に顕著になっていきますが、その際、左右対称に崩れていくことは少なく、大抵の場合、どちらかに偏って、正面からみた姿勢が歪む原因の一つになっていくと考えられます。
さて、今回製作させていただいた8cmヒールは、お客様の本来の整った足を想定して製作した靴です。
履いた瞬間から、真横からも正面からも、ほぼ真っ直ぐな姿勢で立って頂けました。 真横から見た姿勢がこのように理想の姿勢になると、指の付け根の足裏が痛くなることも激減すると思います。依然として、少々反り腰ではありますが、骨盤の角度を意識して生活するうちに、緩和していくと思います。
そして、歩行時もこの姿勢のまま、真っ直ぐ綺麗な姿勢で歩いて頂けました。もう、右に上体が傾くこともありませんでした。

ヒールを長時間履いていて、指の付け根の足裏が痛くなるのは、上記写真の赤丸(真横からみた腰の中心)がくるぶしから伸びる垂直の線(白破線)上に乗らない場合です。この姿勢ができるかどうかが、靴が自分の本来の足に合っているかどうかを判断する重要な要素です。これは、ヒール高さには関係ありません。
このように、靴によって足のアラインメントが変わり、足首から腰までの角度が変化してしまいます。歪みのない姿勢で歩くことが健康にはとても大切なので、靴選びには十分注意したいですね。
それでは、また。




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